No.12 東京ゴッドファーザーズ 今敏

ここ数年で見た映画の中でも、かなり良い映画であることは疑いようもない。人間ドラマを描いた映画というのは正統派であって、うまくはまるととてつもない効果をもたらすのだということが改めて確認できた。もちろん複雑に絡まった人間関係を描いているだけではなくて、飽きさせないようにコメディ要素がバランスよく入っており、また物語自体の流れも非情によく練られており、ともすればご都合主義に見えかねないところをうまく表現していた。舞台が年末ということで背景がクリスマス大晦日正月になっている中で、登場人物が生き生きと動きまわる様は見ていて本当に楽しかった。テーマも一貫していて、登場人物が無くしたものが赤ん坊キヨコによって間接的に与えられるという物語である。このような作品を産み出す力を持っている人が亡くなったというのは本当に惜しいことであって、今敏監督が存命であれば今後どんな作品を作っていたのだろうかということに思いを馳せずにはいられない。最近の試験勉強で溜まった鬱憤を見事に晴らしてくれた素晴らしい映画であった。