No.14 俺たちに明日はない(新・午前十時の映画祭:町山智浩氏の講演)

22日に日本橋で行われた町山氏の講演会に行ってきた。四時半から俺たちに明日はないの上映を行った後休憩をはさみ、六時四五分から約二時間の作品解説という形であった。映画についての細かい感想は別の所で書くとして、ここでは解説講義部分について感想をメモ程度に書こうと思う。今回初めて町山さんを間近で見ることになったわけだが、映画について楽しそうに語る姿がここでも見られて、町山さんが前にいる事はあまり意識することなく、むしろいつもの解説の一つとしてすんなりと聞くことが出来た気がする。二時間もの間休むことなしにひっきりなしにしゃべり続けていたが、話は面白くあっという間に終わりの時間になっていた。さすがに終わった時には少々疲れたが。解説内容についてはさすがの情報量で、映画のあのシーンはこんな理由があったのかという納得の連続だった。いつも思うのだが自分もあんなふうに映画について語ってみたいし、そのために必要な映画を観る目を養っていきたいものだ。最後には映画を見るときの歴史的背景が大切であり、本当に楽しむためにはこの部分を欠かしてはいけないということを強く仰っていて、これからの映画鑑賞時にはこのことを普段よりも意識して見ていこうと思った。あまり深く考えず書きなぐったので文章的におかしいかもしれないがひとまずこのままにしておく。

進化とはなんだろうか 長谷川眞理子著

ようやく読書する余裕が生まれたので早速、ゆっくりと半日をかけて本書を読んだ。この方の名前は知っていたので興味があったがとにかく時間がなかったので今回読むことが出来て少しは文化的な生活に戻ってきたかなという感じである。

内容はタイトルどおりに進化についてであって、岩波ジュニア新書と銘打っている事もあって非常に容易な文章で、進化についてのごく初歩的な内容をまとめている。正直な所そこまで目新しい内容があったわけではないが、進化について初めて学ぶ中学生や高校生にはもってこいなのではないかと勝手ながら思った。個人的に数理モデルによる最適化の理論の章が面白かったので、この分野について掘り下げて見ようかと思った。

No.12 東京ゴッドファーザーズ 今敏

ここ数年で見た映画の中でも、かなり良い映画であることは疑いようもない。人間ドラマを描いた映画というのは正統派であって、うまくはまるととてつもない効果をもたらすのだということが改めて確認できた。もちろん複雑に絡まった人間関係を描いているだけではなくて、飽きさせないようにコメディ要素がバランスよく入っており、また物語自体の流れも非情によく練られており、ともすればご都合主義に見えかねないところをうまく表現していた。舞台が年末ということで背景がクリスマス大晦日正月になっている中で、登場人物が生き生きと動きまわる様は見ていて本当に楽しかった。テーマも一貫していて、登場人物が無くしたものが赤ん坊キヨコによって間接的に与えられるという物語である。このような作品を産み出す力を持っている人が亡くなったというのは本当に惜しいことであって、今敏監督が存命であれば今後どんな作品を作っていたのだろうかということに思いを馳せずにはいられない。最近の試験勉強で溜まった鬱憤を見事に晴らしてくれた素晴らしい映画であった。