武器よさらば ヘミングウェイ著

読了。昨日までに読み切る予定であったが、少々長引いた。原稿が間に合えばよいが。

さて、上の最後のところにも書いてあったように、テンポの良い会話部分と細かな地の文の交互使用によってこの作品は成り立っている。一度集中し始めたらあっという間に読み終えることが出来るのも、非常に短い会話部分によってある種のリズムを掴むことができるからかもしれない。谷口氏はこの作品を戯曲と照らしあわせて解説をしている。つまり、急速な場面展開と生き生きとした会話部からなるこの小説が、5幕41場からなる戯曲になぞらえることが出来るということである。確かに読了後は、ある種の満足感、達成感を感じることが出来、これは質の良い映画を見た後のような感じであった。またこの小説は反戦小説とも恋愛小説とも言える。しかし、読んでみれば分かるように、単なる反戦小説とも単なる恋愛小説とも違う。これら二つの要素が絡み合って全く別のジャンルの小説を生み出しているような気がする。とにかく会話部が極端に少なかった老人と海とはまったく別種であることは間違いがない。個人的には、少々登場人物が多く分かりにくいものの武器よさらばの方が、言い方は悪いかもしれないが、読む価値が有るのではないかと感じる。彼の作品をもっと読み進めていくつもりなのでこの意見は変わるかもしれないが。いまはこれぐらいにしておく。